自動車保険に弁護費用特約は付けるべきか否か？

示談交渉が出来るのは弁護士だけです。弁護士法（第72条 非弁活動の禁止）という法律で規定されているからです。

保険会社が示談交渉できない時もある

保険会社が示談交渉出来るのは、契約者の代わりに損害賠償金として保険金を事故の相手に支払う事で、保険会社が交通事故の当事者になるからです。
関係のない第三者が示談をしているのではなく、事故の当事者が相手と交渉している形になるので、弁護士法に抵触しません。

従って、自分に全く過失がない被害事故の場合、自動車保険に加入していても保険会社は示談交渉してくれません。信号待ちで停車中に後ろから追突された場合などは、自分の加入している保険会社は相手に対して保険金の支払い義務はありませんので、当事者になれないからです。

弁護士費用特約とは

そんな時に役に立つのは弁護士費用特約です。
弁護士費用特約は、保険会社が示談交渉出来ない場合に弁護士が示談交渉をしてくれます。そして、その諸費用は自動車保険から支払われますので費用負担なしで弁護士を雇えます。保険会社が提携している弁護士を紹介してくれますが、自分で弁護士を探しても大丈夫です。

事故の相手が保険に入っていなかったり、非常に悪質な場合に、素人が交渉するは手間も知識も根気もいります。かといって、示談交渉の相談や裁判の手続きを弁護士に依頼すると、その費用の全額が自分の負担になってしまうケースもあります 。

自動車保険に弁護士費用特約を付けていれば、費用を気にせず、面倒な示談交渉も法律の専門である弁護士に任せる事が出来ます。

弁護士費用特約はできたらつけておくべき

弁護士費用特約が有効なのはもらい事故だけではありません。
事故相手の主張する事故状況と、自分の主張する事故状況が全く異なる場合、自動車保険会社は示談交渉は出来ても、交渉は平行線のままです。

主張する事故時の状況が違うなら、過失割合も決められません。
面倒になって相手の主張を受け入れてしまう方法もありますが、弁護士費用特約を使って裁判で争うという方法もあります。

裁判なので解決までに時間がかかるデメリットはありますが、相手が悪質で自分の主張を貫いて戦いたいなら、保険会社ではなく裁判で過失割合を決める方法もあります。
賠償金も弁護士にかかる費用も、加入している自動車保険から支払われますので自己負担はありません。

自分がどんな事故を、どんな相手と起こすか、どんな事故にまきこまれるかはわかりません。弁護士費用特約は、必要性があまり認識されない特約ですが、付けておくべき特約です。