自動車保険の運転者限定特約とは

保険の自由化が導入されて以降、自動車保険にリスク細分型の保険が販売されるようになったことで、保障範囲を狭めれば保険料を大幅に安くできるようになりました。

リスク細分型

老若男女、運転経験の長短などに関わらず、どんな人でも保障するとなると、保険会社はそれだけリスクが大きくなるため、保険料を多く取らないと割が合いません。
つまり、運転の乱暴な人や、運転経験の浅い人の場合は事故を起こす確率が高いため、保険金を支払う可能性が高くなるということです。

ところが、不特定多数の人ではなく、運転する人が一定の人だけに限定されれば、保険会社にとっては損害を補償する確率が大幅に低くなります。
そうなれば、保険料を下げることも可能です。それが、｢運転者限定特約｣であり、現在の自動車保険では付帯できるのが常識となっています。

運転者限定特約の種類

運転者限定の特約を付帯した場合は当然、限定された者以外が運転して事故を起こしても自動車保険から保険金がおりません。

運転者限定には主に、｢本人｣、｢本人と配偶者」、｢本人と家族｣の3種類があります。｢本人｣にした場合は記名被保険者本人しか保障されませんが、その代り、保険料が大幅に割り引かれるため、1万円以上安くなることもあります。

｢本人と家族｣にした場合は記名被保険者、及び配偶者、記名被保険者または配偶者の同居の親族、別居の未婚の子までが保障対象になります。

保障範囲の親族

同居の｢親族｣というのは、6親等内の血族、及び3親等内の姻族を指します。｢血族｣というのは自分と血のつながりのある者、及び養子縁組をした者のことであり、｢姻族｣は配偶者の血族、及び自分の血族の配偶者のことです。

6親等には祖父・孫以外に兄弟、叔父、叔母、甥、姪、従兄弟、再従兄弟姉妹(はとこ)などが含まれます。なお、配偶者の従兄弟は4親等の姻族となるので親族として扱われません。

なお、｢別居の未婚の子｣となっているため、自分の子供であっても結婚して別居している場合は契約車を運転して事故を起こしても損害は補償されません。

ちなみに、｢未婚｣の子という意味は｢婚姻歴が無い｣子のことです。従って、離婚をして独身になっていても、｢別居の未婚の子｣にはならないため、事故を起こした時の補償は受けられません。

ところで、自動車保険の運転者限定には｢年齢限定｣がセットされているのが一般的です。運転者の年齢を21歳以上、26歳以上、30歳以上、35歳以上などと限定するようになっています。
当然、限定範囲が狭くなるほどリスクが小さくなるため、保険料は安くなります。