自動車保険の弁護士特約は、自動車事故における示談に弁護士を雇う際に発生した費用を補償するというものです。
自動車保険が適用できない事故や、保険会社同士による示談がスムーズに進まない場合などに、非常に頼りになる特約です。
示談とは~話し合いによって解決を目指すこと
自動車事故を起こしてしまった場合、必ず行われるのが示談です。
示談とは、一言で言うと話し合いによる合意によって解決を目指すと言うものです。
自動車事故においては、たとえばどちらに非があるかとか、どちらが事故発生の直接的な原因であるかなどが、この示談によって話し合われ、決定されます。この示談には、裁判によらなくても済むというメリットがあります。
そして双方が示談に納得できた場合は、その内容に基づいた方法や割合で事故の解決がはかられます。自動車事故の場合、任意保険の自動車保険に加入していればこの示談は、保険会社同士で行われるのが一般的です。
示談の注意点~弁護士の力が必要になる時とは

しかし加入している自動車保険の保険会社が、すべての自動車事故の示談を担当してくれると言うわけではありません。
たとえば信号待ちの際に後ろから追突されたなどと言った、こちらに一切の非がない自動車事故の場合には、相手の損失に対しての賠償義務は発生しません。ですから、相手に発生した損失に対する賠償を目的としている自動車保険は、そもそもとして利用することができません。
そうなると相手の自動車保険の会社と示談するのは、自分自身ということになります。
また保険会社同士の示談も、必ずしもスムーズに進む、そして円満な解決にたどり着くとは限りません。相手側が非を認めない、こちら側の言い分を一切認めてくれないと言うケースの発生も考えられます。
このような時に頼りになるのが弁護士の力です。弁護士に示談をお願いすれば、専門的な知識をもってスムーズな交渉や円満な解決を望むことができます。また仮に話し合いの場を裁判に移した場合でも、やはりとても心強い存在です。
弁護士特約とは~弁護士費用を負担してくれるもの
自動車保険の弁護士特約とは、上記のような事例の際に弁護士を雇った際、そこにかかった費用を負担してくれるという内容です。
弁護士特約は、あくまで特約です。そのため、自動車保険の基本的な契約に加入していることが、この特約をつけることの大前提です。
負担される金額としては300万円を限度にしている保険会社が多く、また自動車保険によっては、自動車事故だけではなく、日常の被害事故に対してもこれを適用することができるプランを用意しているものもあります。
特約ですから、これをつけることで支払う保険料は上乗せされます。
しかし示談という、精神的にも非常に負担の大きい領域において金銭面への心配なく弁護士の力を借りることができると言うのは、支払う保険料以上の安心感があることです。