交通事故が業務上過失傷害にあたる場合の慰謝料や補償について

交通事故で相手にけがを負わせた場合は、以前は業務上過失障害に問われましたが、現在は自動車運転過失傷害という扱いになります。

被害者がけがをし、診断書を警察に提出すれば人身事故となり、自動車運転過失傷害（以前は業務上過失障害）で、警察から検察庁に書類が送られます。すなわち書類送検です。
検察庁で起訴されれば、裁判となり、ほぼ有罪になります。
そうなって初めて、自動車運転過失傷害（以前の業務上過失障害）にあたるということになります。

民事上の補償義務

交通事故を起こして相手にけがをさせたことが明らかであっても、検察庁で起訴されるのは1割ほどです。
ほとんどの場合は起訴されず、刑事上は自動車運転過失傷害罪をおかしたということにはならないという結果になります。

しかし、それは刑事上の話であって、民事上の補償義務は別です。
刑事手続きで不起訴になったから、補償の義務はないということではありません。

刑事裁判では、交通事故をほとんど扱わなくなったというだけで、交通事故で過失にせよ、被害者を傷害したことに変わりはなく、それは手続きに関わる関係者は皆承知していることです。

入通院慰謝料や休業補償

そのため、加害者が不起訴になっても、加害者の自賠責保険で被害者は治療を受け、入通院慰謝料や休業補償も受け取ります。
中には不起訴になったのだからと、自分の任意保険を使わないで済まそうとする加害者もいますが、刑事責任と民事責任はまったく別です。

刑事手続き上は起訴されず、自動車運転過失傷害罪をおかしたという扱いになっていなくても、民事裁判で慰謝料を支払うようにとの命令は出ますし、補償も命じられます。
そのことがわかっているため、任意保険会社は、加害者が起訴されるされないに関わらず、慰謝料や補償額について被害者と交渉し、示談しようとするわけです。

賠償責任

起訴されなかったのだから、示談する必要はないし、損害賠償の請求をされる言われもないと突っぱねる加害者も時にはいますが、交通事故加害者の起訴率が10％に低下している現実があってそれがまかり通るなら、自分が被害者になってけがを負った場合どうかということを考えたほうがいいでしょう。

民事での賠償責任の認定は、交通事故加害者の起訴率が高かった頃とそう変わっていませんので、刑事と民事は完全に分けて考えられます。

交通事故の場合、損害賠償額にははっきりした基準があり、それに基づいて補償額が決まります。
基準は3つあり、弁護士が介入したときに、最も高い裁判基準が用いられます。