交通事故の際には過失割合によって双方が支払う賠償金の額が決定されますが、この際に双方の過失割合によって賠償額を変更するのが過失相殺です。
例えば70:30の事故で被害者が100万円の損害を被っても、加害者が支払うのは70万円で良いと判断されます。
この過失相殺があるからこそ交通事故の示談交渉は難しいのですが、この過失割合についてはある程度の決まり方があります。
では過失相殺は最終的にどのようにして決まるのでしょうか。
過失割合は保険会社が決めることが多い
まず過失割合についてですが、これは警察などが決めているわけではありません。
警察には民事不介入、つまり犯罪によって生じたわけではない個人間のトラブルには介入できないという原則があります。
従って交通事故の過失割合は当事者間で決めるべきとなるのですが、ここで過失割合を決めるのはおおよその場合保険会社です。
現在車に乗るとなると任意保険に加入している人が多く、事故が起きた時には保険会社がその賠償金を肩代わりします。
そのため保険会社も当事者と同じように交渉に参加するわけですが保険会社にはこれまでの事故で蓄積したノウハウがありますから、保険会社が過失割合を決めることが多いわけです。
保険会社は加害者に有利な割合を提示する

ただし保険会社が過失割合を決める場合、間違いなく加害者にとって有利な物が選ばれているということは知っておくべきです。
例えばほぼ同じ事故が過去にもあったとして、事例のうち一つは70:30、もう一つは60:40の過失割合が適用されていたとしましょう。
70:30を選ぶと加害者の過失が7割となるために支払う賠償金の額も高くなります。
そのためこうした事例があった場合、保険会社は間違いなく60:40の方で被害者に交渉を持ちかけます。
こうなると過失相殺の結果被害者が受け取る賠償金の額も減りますから要注意です。
実際のところお互いが自動車保険に加入していれば保険会社同士の交渉になるため、ある程度は被害者にも有利な条件になることがあります。
ただ同業者同士ということで譲歩する部分が出てくる可能性は高いですから、やはり過信は禁物です。
本当の過失割合を求めるのなら弁護士に頼む方法もある
では保険会社の提示した過失割合が納得できない場合にはどうすれば良いのかというと、これは弁護士に頼むのがベストとなります。
特に交通事故の処理に慣れた弁護士の場合、過去の裁判の結果として出てきた過失割合を提示して保険会社や加害者に交渉を持ちかけてくれるでしょう。
いかに加害者側が都合のよい過失割合を提示したとしても、弁護士側は過去の判例という強力な根拠を有しているわけですから対等以上に交渉が行えます。
もちろん弁護士に頼めば弁護士報酬が発生しますが、賠償額が大きい場合や相手の提示する条件に納得できない場合は弁護士に頼ると良いでしょう。