交通事故における慰謝料等の中間利息控除について

交通事故によって被害者が死亡してしまった場合、その遺族は被害者死亡による逸失利益分を損害賠償に含めて受け取ることができます。
この逸失利益の算定にあたっては、将来の分を一括して受け取ることにひとしいため、中間利息控除として一定部分が差し引かれます。

死亡事故の場合の損害賠償

交通事故によって被害者が死亡してしまった場合には、本人は損害賠償を受け取ることがもはやできませんので、その遺族が加害者から損害賠償を受け取ることになります。

この場合の損害賠償としては、通夜や葬儀などにかかった費用である葬祭費、本人および遺族の精神的苦痛などに対する慰謝料、被害者が生きていれば得られたはずの逸失利益などいったものから成り立っています。

ただし、交通事故の現場で死亡したのではなく、入院のすえに死亡したという場合であれば、死亡するまでの間にかかった治療費や付添看護費、通院交通費などの実費負担分についても、損害賠償として請求することができます。

この場合、死亡と交通事故との間には因果関係があることが必要ですので、あまりにも交通事故が起きてからも長期間生存していた場合には、損害賠償が認められない可能性もあることは留意しておかなければなりません。

逸失利益とは

損害賠償として含まれている逸失利益ですが、これは死亡した被害者が、もしも事故に遭わずに生きていたとすれば、これから先の人生で仕事をすることによって得られたはずの所得のことであると考えればよいでしょう。

そのため、この逸失利益をめぐって裁判で争われた事例をみると、弁護士や医師のような、年間所得の大きな人が交通事故で死亡した場合には、かなり高額な損害賠償を認める判決が出ています。

要するに、被害者が亡くなったときの年齢や職業によっても、かなりこの部分の金額は異なってしまうということになります。
会社勤めではない家庭の主婦なども、逸失利益は認められるものですが、この場合は賃金センサスによる女性の平均賃金のデータなどを利用して計算をすることが多いといえます。

中間利息控除とは

逸失利益を損害賠償金として遺族が受け取る場合に、ひとつ問題になってしまう点があります。
逸失利益が将来働いて得られるはずの所得にあたる金額であるとすれば、本当は何今後十年もかかって毎月の給料として受け取るべきところを、前借りのようなかたちで一括して受け取ってしまうというところです。

もしも逸失利益の損害賠償金を銀行に長期間預金したとすれば利息がつきますので、実際に受け取るであろうトータルの金額との間にはずれが生じてしまいます。

そこで、中間利息控除といって、この将来までの利息にあたる部分を差し引くという取り扱いがなされるのです。
中間利息控除の計算にあたっては、ライプニッツ係数とよばれる係数を用いるのが一般的です。