交通事故のケガは自由診療になる？健康保険は？

交通事故が発生して怪我をしてしまった場合には病院で治療を受けなくてはなりません。
現代の日本では病院での治療は健康保険適用になるのが普通ですが、しかし交通事故の場合は少々特殊な扱いになります。

そこでは自由診療、つまり健康保険が適用されずに全額を自己負担で支払わなくてはらないこともあるのです。
では交通事故による怪我を治療する際の扱いとしてはどうなっているのでしょうか。

交通事故の治療は基本的に健康保険が適用される

まず最も気になるポイントとして健康保険が使える場合についてですが、これはほとんどのケースで適用されます。
事故で自分が車にはねられて足の骨を折ってしまった、事故で電柱に衝突して首を痛めた、加害者であろうと被害者であろうと基本的には三割負担で治療を受けることが可能です。

勘違いしてはならないのは示談が完了するまでの間、被害者でも治療費は自分で払う必要がある部分で、実際に医療費を支払ってもらえるのは加害者との示談交渉が完了した後になります。
この点だけは制度上仕方ないこととして理解しましょう。

自由診療になるケースとは

では逆に自由診療になるケースとしてはどういったものがあるのかというと、これに該当するのは業務上の災害である場合と法令違反による負傷である場合です。

まず業務上の災害というのは、例えばトラックドライバーが仕事で荷物を運んでいる時に事故に遭ってしまったようなケースが該当します。
ここで適用されるべきは健康保険ではなく労災保険となっていますから、各事業所が加入する労災保険に申請をしなくてはなりません。

法令違反については飲酒運転や無免許運転といったものがあり、こうした運転による事故は保険で救済する必要の無い自己責任であると判断されます。

保険はあくまでも「自身に責任が無いのに治療が必要になった」という場合に国民を守るための物ですから、身勝手な理由で使おうとしても救済をしてもらえないわけです。
おおよその人にとっては大した問題でも無いでしょうが、違法な運転で事故を起こすのはそれくらい厳しく見られるとして覚えておいてください。

「第三者の行為による負傷」では無いの？

さて、先ほど自由診療になるケースとして二つのことを上げましたが、実は健康保険の適用対象外となる診療には「第三者の行為による負傷」というものもあります。

これは事件や事故で他者によって負傷させられた場合には保険が適用できないという制度であり、文章だけを見ると交通事故も対象外になるように見えるでしょう。
実際このことを知っているがために「交通事故は自由診療になる」と考えている人は多いです。

ただこれは「交通事故の場合は例外とする」という判断が昭和43年に出されており、文章だけを見ると紛らわしいのですが交通事故の場合は先ほど挙げた二つに該当しない限り自由診療にはならないと考えて良いのです。