自動車保険における「偶然な事故」とは

損害保険の事故である基本的な条件は、『偶然性』『外来性』『突発性』の３つです。
自動車保険も損害保険の１つである以上、この３つの条件が満たされなければ、保険事故とは言えません。

自動車保険の基本条件

自動車保険は、自動車などを運転している間に起きた事故を補償する保険です。
３つの基本条件は反対の意味を考えれば、わかりやすくなります。

例えば、外来性の反対の言葉は内在性です。交通事故が起き、その原因が車両自体の内在的原因であれば、保険事故とはなりません。
しかし、内在的原因の主張は難しいものがあります。ここで問題なのは、内在的原因を運転者が認識していたか、という点です。『ブレーキの利きが甘いと判っていたが、事故に至るとは考えなかった。』と運転者が主張すれば、内在的原因とは言い切れないからです。

また『突発性』の反対の意味である『継続性』も、通常継続的に事故がある訳ではないので、自動車保険では考えにくい条件です。

そこで自動車保険が対象とする事故は『偶然な事故』に焦点が当てられます。
『偶然性』の反対は『必然性』ですが、保険事故では『故意』を反対の意味としています。
偶然な事故とは、故意の事故ではない、となります。
わざとやったのではない事故が偶然の事故です。

偶然な事故とは

保険会社は、事故になるだろうと事前に判って起きた事故は、当事者の利益のために起こされた事故で、偶然な事故とは考えられないと判断するからです。
保険は、損害を補填するためであり、当事者の利益を補填するものではないからです。良識社会をつくるために、保険詐欺を防ぎ、いわゆる保険金太りを防ぐためです。

つまり、偶然な事故とは故意の事故ではない予期することができない事故です。
自動車保険が保険の対象とする事故は、事故発生自体の偶然性・事故時期の偶然性・事故形態や経済上の偶然性を指します。

例えば、人や車両の衝突や接触・車両の転覆・飛来物による破損・火災・盗難・台風・洪水・高潮などです。もちろん事故形態が、これらによる原因でも経済的に利益を得ようとして起こされた交通事故は偶然な事故とは言えません。

飛来物には石の飛来や事故による破損物の飛来が想定できます。
また自動車保険の車両保険では、偶然な事故を限定しています。

一般車両保険とは

一般車両保険は通常通りの偶然な事故を補償します。
しかしエコノミータイプの車両保険は偶然な事故を限定しており、盗難事故などは偶然な事故から外しています。その結果、車両保険料部分で半値近い割安な保険料となっています。