交通事故で高次脳機能障害になった場合の損害賠償について

交通事故で頭の打ち所が悪かったりすると、高次脳機能障害のような後遺障害をわずらうことがあるものです。
この場合、被害者から請求があれば、加害者は損害賠償金を支払わなければなりませんので、通常は自動車保険に加入してカバーができるようにしているものです。

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害というのは、交通事故で頭を打ったり、急な脳卒中が起こるなどして、脳が損傷されたことが原因となる、認知や行動の異常の総称といえます。

高次脳機能障害の具体的な症状としては、物忘れがはげしくなる、注意力が散漫になる、同時並行でいくつもの作業ができない、見当違いなふるまいをする、怒りっぽくて自制心がなくなるといったものがあります。

これらは、交通事故の怪我そのものとは違って、見た目では判断がつかず、本人の自覚、あるいは日頃の言動によってしかわからないため、誤解を受けやすいといえます。

後遺障害等級認定について

高次脳機能障害による損害賠償は、通常は加害者が加入している自動車保険からの保険金をもってまかなわれることになります。
そして、そうした保険金の請求をするにあたっては、その前に後遺障害等級認定を受ける必要があります。

これは、さまざまな後遺障害を症状によってある種のランクに分けることによって、具体的な損害賠償の金額が決定できるようにしたしくみといえます。
このような認定を受けるのは、症状固定といって、怪我そのものの治療をこれ以上行ったとしても、回復する見込みがない状態に至ったと医師が認めたときになります。

認定のための証拠書類としては、医師が書いた後遺障害診断書が利用され、その内容を精査して、どの等級に該当するのかが審査されることになります。

認定にあたっての注意

高次脳機能障害というのは、見た目での判断がむずかしく、医学の世界でも専門的に治療や研究を行っている医師は限られています。
そのため、具体的な症状が出ていたとしても、なかなか客観的な判断がつかないとして、適切な後遺障害等級認定が行われない可能性があるものです。

認定がなければ当然、慰謝料や逸失利益などを中心とした損害賠償金も支払われることはありませんので、被害者としては大きなハンディを抱えてしまいます。

そこで、あらかじめこの分野にくわしい医師や、そうした医師がいる専門の病院、あるいは交通事故の損害賠償問題を解決した実績の多い弁護士などに相談をして、有益なアドバイスを得ておくことがのぞましいといえます。